研磨材の粒度

2024年12月27日 2025年1月3日最終更新

研磨材や砥石など、物体を磨く作用を持つ消耗材には必ず対象を削ったり、琢磨したりする役割を持つ物質が中に入っています。多くは、砥粒(とりゅう)と呼ばれるものが入っており、研磨材の粒度とは、まさにこの砥粒の大きさのことです。

粒度は数字で表され、数字が大きいほど細かい粒であることを示しています。また、粒度のことを番手(ばんて)といったり、#270のように#(シャープの記号)をつけて表現します。

砥粒の大きさというのは、研磨の際には仕上げ面の粗さにもっとも強くかかわってくる要素で、たとえば、#400のサンドペーパーを使ってワークを磨いた場合、#400に入っている砥粒の大きさよりも細かい面には仕上げられないということです。

したがって、研磨の世界では、研磨材であれ、砥石であれ、粒度の粗いものから、細かいものへ段階的に工程をくみ上げて、最後は鏡面に磨きこむというようなことが行われます。産業分野によっては、研磨の工程だけで10工程以上あるようなものもあります。

研磨材の粒度は、JIS規格があるものと、各メーカーごとにそれぞれ基準を定めているものとがあります。規格があるのは、超砥粒(ちょうとりゅう)と呼ばれるダイヤモンドとCBNの16番から325番までの粒度と、一般砥粒を使った研削砥石のうち、F4からF220と、F230からF1200、#240から#8000までのもの、サンドペーパーやベルトなどの研磨布紙に使うもので、12から2500のものがあります。

なお、規格がないものについてメーカー独自の基準によるため、砥粒の大きさはメーカーごとに微妙に異なりますが、規格があるものについても、ぴったりこのJIS規格どおりというわけではなく、異なる粒度を混合することもあることから、同じ番手であっても使用感や仕上がりが異なることがあります。工業用では実際の使用前にサンプルで試したり、工程を組む際に同じメーカーの研磨材でそろえたりすることもあります。

粒度の一覧

ダイヤモンドとcBNの粒度

粒度番号 粒度範囲(μm) 主な用途
16/20 1180-850 粗加工、重研削
20/30 850-600 粗加工、一般研削
30/40 600-425 中荒加工
40/50 425-300 中荒加工
50/60 300-250 中仕上げ加工
60/70 250-212 中仕上げ加工
70/80 212-180 仕上げ加工
80/100 180-150 仕上げ加工
100/120 150-125 精密仕上げ
120/140 125-106 精密仕上げ
140/170 106-90 精密仕上げ
170/200 90-75 超精密仕上げ
200/230 75-63 超精密仕上げ
230/270 63-53 鏡面仕上げ
270/325 53-45 鏡面仕上げ
  • ※この粒度は、JIS R 6001およびFEPA(欧州研磨材工業会)規格に基づいています。
  • ※粒度範囲は標準的な値であり、製造メーカーによって若干の違いがある場合があります。
  • ※CBN(立方晶窒化ホウ素)はダイヤモンドに次ぐ硬度を持つ砥粒で、主に鉄系材料の研削に使用されます。

一般砥粒の粒度規格一覧

1. 研削砥石用砥粒(JIS R 6001)

F規格(粗粒)

粒度記号 粒度範囲(μm) 主な用途
F4 4750-4000 超粗研削
F6 3350-2800 超粗研削
F8 2360-2000 粗研削
F10 2000-1700 粗研削
F12 1700-1400 中粗研削
F14 1400-1180 中粗研削
F16 1180-1000 中研削
F20 1000-850 中研削
F24 850-710 中研削
F30 710-600 中仕上げ研削
F36 600-500 中仕上げ研削
F46 500-425 仕上げ研削
F54 425-355 仕上げ研削
F60 355-300 仕上げ研削
F70 300-250 精密研削
F80 250-212 精密研削
F90 212-180 精密研削
F100 180-150 精密研削
F120 150-125 超精密研削
F150 125-106 超精密研削
F180 106-90 超精密研削
F220 90-75 超精密研削

F規格(微粒)

粒度記号 粒度範囲(μm) 主な用途
F230 75-63 鏡面研削
F240 63-53 鏡面研削
F280 53-44 鏡面研削
F320 44-37 超鏡面研削
F360 37-31 超鏡面研削
F400 31-26 超鏡面研削
F500 26-22 超鏡面研削
F600 22-18 超鏡面研削
F800 18-15 超鏡面研削
F1000 15-13 超鏡面研削
F1200 13-11 超鏡面研削

#規格(極微粒)

粒度記号 平均粒径(μm) 主な用途
#240 57.0 精密研磨
#280 48.5 精密研磨
#320 40.5 精密研磨
#360 35.0 精密研磨
#400 30.0 超精密研磨
#500 25.0 超精密研磨
#600 20.0 超精密研磨
#700 17.0 超精密研磨
#800 14.5 鏡面研磨
#1000 11.5 鏡面研磨
#1200 9.5 鏡面研磨
#1500 8.0 鏡面研磨
#2000 6.5 超鏡面研磨
#2500 5.5 超鏡面研磨
#3000 4.5 超鏡面研磨
#4000 3.5 超鏡面研磨
#6000 2.5 超鏡面研磨
#8000 1.5 超鏡面研磨

2. 研磨布紙用砥粒(JIS R 6001)

粒度番号 粒度範囲(μm) 主な用途
12 1815-1535 粗研磨
16 1320-1108 粗研磨
20 1108-926 中粗研磨
24 926-786 中粗研磨
30 786-660 中研磨
36 660-550 中研磨
40 550-462 中仕上げ研磨
50 462-390 仕上げ研磨
60 390-330 仕上げ研磨
80 330-275 精密研磨
100 275-231 精密研磨
120 231-195 精密研磨
150 195-165 超精密研磨
180 165-139 超精密研磨
220 139-117 超精密研磨
240 117-98 鏡面研磨
280 98-82 鏡面研磨
320 82-69 鏡面研磨
400 69-58 超鏡面研磨
500 58-49 超鏡面研磨
600 49-41 超鏡面研磨
800 41-35 超鏡面研磨
1000 35-29 超鏡面研磨
1200 29-25 超鏡面研磨
1500 25-21 超鏡面研磨
2000 21-17 超鏡面研磨
2500 17-14 超鏡面研磨

3. FEPA規格(欧州研磨材工業会)

P規格 平均粒径(μm) JIS相当
P220 68 220
P240 58.5 240
P280 52.2 280
P320 46.2 320
P360 40.5 360
P400 35.0 400
P500 30.2 500
P600 25.8 600
P800 21.8 800
P1000 18.3 1000
P1200 15.3 1200
P1500 12.6 1500
P2000 10.3 2000
P2500 8.4 2500

4. ANSI/CAMI規格(米国規格)

粒度番号 平均粒径(μm) FEPA相当
12 1815 P12
16 1324 P16
20 1000 P20
24 764 P24
30 642 P30
36 538 P36
40 425 P40
50 336 P50
60 269 P60
80 201 P80
100 162 P100
120 127 P120
150 100 P150
180 82 P180
220 68 P220
240 58.5 P240
280 52.2 P280
320 46.2 P320
360 40.5 P360
400 35.0 P400
500 30.2 P500
600 25.8 P600
800 21.8 P800
1000 18.3 P1000

注意事項:

  • 各規格間で完全な互換性はありません。相当する粒度でも、実際の粒径分布には若干の違いがあります。
  • 同じ粒度番号でも、砥材の種類によって切れ味や研磨特性が異なります。
  • 用途に応じて適切な粒度を選択する必要があります。
  • 製造メーカーによって、同じ粒度番号でも若干の違いがある場合があります。

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