歯の研磨について
歯を「材質」としてみた場合、表面に見える白い部分が「エナメル質」もしくは琺瑯質と呼ばれるセラミックス質に近い硬い物質となります。その下に、象牙質や歯髄といった歯の中心部分がありますが、物を噛み砕く役割を担うのが表面のエナメル質となっています。その硬度は、モース硬度で7近くあるとされ、これは水晶や石英などの高硬度物質と同レベルとなります。
硬いものは、ほとんどが衝撃に弱く割れやすくなりますが、歯の場合は、その下にある象牙質がエナメル質を支える形となっているため、ちょっとした衝撃では破壊されません。
歯の主成分というのは、ハイドロキシアパタイトと呼ばれるリン酸カルシウムの一種です。研磨対象となるエナメル質もほとんどがこの物質によるものであり、研磨すると同時に痛んだ箇所を修復するという発想もあります。いわゆる再石灰化といわれる現象を促進させるという考え方です。
歯を研磨する場合、表面にあるこのエナメル質を研磨することとほぼ同義です。
研磨の種類としては、「物理的な研磨」と「化学的な研磨」の二つが使われます。物理的な研磨の場合、この硬度の材料を削ったり、穴を開けたりする際に使うダイヤモンドがよく使われます。ダイヤモンドバーと呼ばれるような工具で、電着によってダイヤモンドが先端につけられています。また炭化ケイ素系の高い硬度をもつ砥粒も用いられることがあります。
また歯の美白などを目的とした場合は、表層だけを物理的に研磨する場合、使われる研磨剤にRDAやREAという数値がついています。これは国際規格によるもので、数値は、歯の象牙質やエナメル質をどの程度削る能力を持つかを示したものです。
工業用やDIY分野で研磨材は砥粒の大きさである「粒度」という数値を見ますが、口腔内で使うこうした歯の研磨用のものは異なるパラメータが判断基準に使われます。
化学的研磨による方法では、過酸化水素を使った漂白などがあり、歯を白くするためのホワイトニングとしても知られます。歯の表層に沈着した物質を取り除くだけでなく、表層そのものを化学的作用を用いて磨き落とすという発想です。
歯のクリーニングであるPMTCで用いられる研磨ジェル自体は、主に物理的な研磨によるもので、砥粒としてはダイヤモンドや炭化ケイ素が使われますが、上記の化学研磨が併用されることもあります。
一説には、歯の表面の光沢を増加させたい場合、粒度の細かい(番手の細かい)ダイヤモンドペースト、炭化ケイ素などが砥粒として配合されているものが効果が高いとされますが、これらは削る力も非常に大きいものであるため、専門医に実施してもらう必要があります。
「歯の研磨」に関連するサイトやリソース
- Oral Studio
- 医療従事者及び歯・医学部系学生へ向けた情報提供サイト。歯の研磨材の選択ポイントやRDA、REAについての概略が説明されています。
- エナメル質(Wikipedia)
- 歯の構造、エナメル質についての記事がまとまっています。
- 砥粒の硬度
- 硬度の説明の部分にチャートが載っていますが、ダイヤモンドを頂点とし、炭化ケイ素(SiC)、石英(歯のエナメル質とほぼ同じ硬さ)の硬さの違いを見ることができます。
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