大理石の研磨
- 大理石の研磨|目次
大理石の研磨方法
大理石の研磨方法としては、ダイヤモンド砥粒を使った研磨パッドをハンドポリッシャーやフロアポリッシャーに装着しての回転研磨が一般的です。天然の大理石は、数ある石材の中では軟らかいタイプで、ただ単に研磨するということだけであればダイヤモンドや黒色炭化ケイ素等を用いた砥石で磨くことが出来ます。 美しい鏡面状態のものを得ようとすれば、それに適合する工具と技量が必要になります。石種によっては鏡面を出すことが難しい場合もあります。例えばイタリア産のビアンコ・カラーラと呼ばれる黒い斑の模様が入った純白系の大理石は、鏡面研磨しても「梨地肌」と呼ばれる表面になりがちで、果物の梨の皮のような模様が表面に残留するため、上部から照明をあててもくっきりとした写像性を得るのが難しい材料です。- 大理石に適した砥粒、研磨剤
- ダイヤモンド、C(黒色炭化ケイ素)、A(アルミナ)
- 大理石の研磨方法
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- 研磨パッドを装着したハンドポリッシャー、フロアポリッシャー、手磨き(石材製品全般、フロア)
- 液体状のスラリー、研磨剤(メンテナンス用途)
- 化学薬品を用いて表面を溶かすケミカル研磨
- 研磨盤を装着した専用研磨機(建材等)
大理石に使われる研磨剤、研磨パッド
研磨中は、潤滑剤の役割を果たす水を用いながら行う湿式研磨と水や研削液を使わないドライの状態で行う乾式研磨の二つの技法があります。湿式と乾式とで研磨に使う道具、工具類はあまり変わりませんが、研磨パッド自体は湿式用のものと乾式用のものが区別されているものと、両用のものがありますので状況に合わせて使い分けることになります。熱を逃がすことができない乾式研磨は、水を使わない分、作業場所を選ばず行うことができる利点がありますが、研磨中にワークと研磨パッドの接触点が高温になり、「ヤケ」と呼ばれる変色の原因になることもあり、難度は高いです。
サンダーを使っての大理石研磨(湿式)
この例では電動式のサンダーを使って湿式研磨しています。
また、スラリーや液体状の研磨剤をまいて研磨していく遊離砥粒による研磨も行われます。こちらもパッドを使って回転する用具、たとえばフロアポリッシャーなどを使うことには変わりませんが、この場合はパッドに研磨剤はついておらず、大理石の上にまいた液体やスラリーのほうに研磨剤が入っている形になります。これらをワックスをかけるような要領で満遍なくパッドのついたポリッシャーで引き伸ばしながら大理石にこすり付ける様にして磨いていきます。アルミナなどの比較的廉価な砥粒を使うケースが多いです。
スラリーを使った大理石床の研磨
ワックス掛けに使うフロアポリッシャーを使っての研磨です。この映像のようにスラリーをパッドにかける方法のほか、研磨する床の箇所につけておく方法もあります。
ほかに、薬剤をまいて行うケミカル処理で大理石床の研磨を行う方法もあります。こちらはケミカル研磨の一種ですが、化学薬品による表面の溶解がメインの方法のものもあり、清掃の延長上、大規模な面積のある床材などで実施されることがあります。
DIYでもできる大理石研磨
石材の研磨の中でも大理石の研磨は石がやわらかい部類ですので、要領さえつかめればDIYでも実施できます。ごく小さい面積の研磨であれば、手で持って使うスポンジタイプのダイヤモンドパッドで手磨きすることもありますが、ほとんどはサンダーやポリッシャーなどの回転型の手持ち式研磨機に、研磨パッドを貼り付けて使います。
注意点としては、研磨は表面に細かい傷をつけていく作業でもありますので、除去した大理石の表面のくすみや傷の深さに応じて、適切な粒度から順番に細かいものへ研磨パッドを変えていく必要がある点です。
大理石のタイルをDIYで研磨する
このようにハンドパッドを使って手磨きで研磨する方法もあります。この例では大理石のタイルに油性マジックで落書きをしてそれを消す過程を写してします。
黒大理石 ネロマルキーナの手磨き
この例では黒大理石の代表格であるネロマルキーナを粗い表面状態から天井の光が移りこむまで手磨きで研磨しています。
大理石の成分、化学式
大理石は結晶質石灰岩といわれるもので、ほかにトラバーチンやライムストーンを括った総称としても使われるため、その種類はきわめて多くなりますが、多くは主要部を構成する方解石は炭酸カルシウムが主成分となるため、CaCO3が化学式となります。こうした成分からも、レモンなどの身近なものであっても、酸には注意を要することがわかります。
豊富な種類がある大理石
世界には300種類を超える大理石があるとも言われますが、そのほとんどは日本国外から輸入されたものです。日本は花崗岩(御影石)で知られる産地は数多くありますが、大理石についてはかなり限られています。国内では白やベージュなどの明るい色の大理石が人気ですが、有名な大理石と言えば、イタリアのビアンコ・カラーラ、クレマ・モーラ、ボテチーノ、ギリシャのタソス・ホワイト、台湾の蛇紋、黒色の大理石でスペイン原産のネロマルキーナ、トルコのタイガーベージュ、ポルトガルのモカクリーム、パキスタンのオニックス等があります。これらは「大理石」と総称されていますが、天然素材ゆえ、構成されている物質はそれぞれ違うため、ある大理石でうまくいった研磨材や砥石を別の産地のものに使ってもうまく仕上がらないことがあります。砥石や研磨材の選定によって結果が大きく変わると言われるのはこのためです。
大理石は石材の中では表面硬度が比較的低いことと、酸に弱いなどの理由からインテリアで使われることの多い石材ですが、太古より建材やモニュメントなどとしても使われてきています。
使われる研磨材としては、砥石のような固定砥粒の場合と、液体状のコンパウンドや遊離砥粒と呼ばれるものの二通りがあることは紹介したとおりですが、一部、ツヤを出すためにツヤ粉と呼ばれるものが使われることもあります。高効率を求めるのであれば、砥石としてはダイヤモンド砥石が有力候補となります。
大理石のメンテナンス方法
大理石は高級感やゴージャスな雰囲気を出すことができ、模様も淡く華やかなものが多く、インテリア、内装材、床材、キッチンやテーブルの素材としても人気があります。一方、柔らかい石であるため、傷がつきやすいことと、表面の光沢は経年劣化により徐々に失われていきますので、汚れを落としても新調当時の輝きを失ってしまっているものについては光沢が戻らないことがあります。これは表面に微細な傷が無数についていたり、汚れが大理石の表面にあいている小さな孔などに入ってしまったり、大理石自体が変色してしまっていることが原因です。
また、大理石研磨には、内装材や床材などの材料そのものを製造する際に行う研磨だけでなく、施工され、使われるようになってからメンテナンスのために行う再研磨もあります。大理石は特に傷が付きやすく、ものによっては爪で強くこすっただけで痕が残ってしまうことがあり、人通りの多い場所の床材として用いられているケースではすぐに輝きが失われ、くすんだ見栄えのしないものになってしまいます。このため、再研磨を実施することで、新品同様の表面にすることができるのも天然石材床の特長の一つです。
表面をコーティングして大理石を保護する
大理石は前述の通り、酸に弱い石ですが、レモンやオレンジ程度の酸性の液体であれば、すぐにシミになってしまう程度の耐性しかありませんので、表面をシーラーと呼ばれる下地処理用の塗料(多くは透明です)を塗布して用いられます。ただこれらにも限度があり、シーラーの劣化などから酸が大理石に接触することも考えられるため、あらかじめ酸性の液体がかかるような場所では天然の大理石を使わず、人造大理石や御影石、あるいは人造石を用いるという選択肢もあります。
コーティングした大理石については、研磨すると表面のコーティングが剥がれるか、傷がつきますのですべてのコーティングを除去して張りなおすほど研磨するか、コーティング自体の汚れを研磨以外の方法で実施する等の処置が必要です。
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